1999年8月31日
1. 委員会の目的
近年、建築物の多様化・大規模化、建築技術の高度化の進展、さらに、環境問題や高齢化問題への対応等、建築設計をめぐる環境は大きく変化してきた。そこで、建築設計・監理業務内容も多様化・複雑化し、建築設計・監理業務に係わる者に期待される役割や責任は一層重要になっている。
しかしながら、建築設計・監理業務に対する社会的認識や評価は必ずしも高くなく、報酬の適正化、契約方法の改善等、設計・監理業務が適正に実施されるための環境整備が強く求められている。
一方、国際化の進展により、中長期的視点では外国とも相互に理解し、認め合うことのできる建築生産の仕組みへと、建設産業自体の構造改革を行うことが求められている。
こうした環境のなかで、建設省では公共建築の設計委託の適正化のため、1996年1月「公共建築設計業務標準委託契約約款」を制定し、建築審議会の議を経て公表され、逐次公共発注機関において標準約款に準拠した実施約款が制定されている。この標準約款作成の過程において、建築設計の独自性については、すでに制定されていた公共土木設計標準約款との整合性から、その一部を割愛し土木約款に準拠せざるを得なかった。
さらに、今日の設計環境においては、顧客との相互の無理解によるトラブルを防ぎ、又、顧客の満足度を高めるためには、設計・監理業務の内容を委託者に説明するとともに、お互いの責任と権利・義務をあらかじめ明らかにすることが、民間工事においても重要であるとの認識が高まっている。
こうした状況の中で、民間建築工事により相応しい「標準委託契約約款」の制定が急務と考えられる。そこで、望ましい「民間建築設計・監理業務委託契約約款」を作成することを目的として、建築設計関連4団体である、日本建築士事務所協会連合会、日本建築士会連合会、日本建築家協会、建築業協会(設計部会)が、合同して「民間建築設計監理業務標準委託契約約款検討委員会」を組織し、「標準約款」を制定することとした。
2. 検討の経緯
1)1996年5月13日、第1回委員会を開催し、大森文彦弁護士を委員長とし、各団体から派遣された専務理事を含む3乃至4名の委員を構成員とする委員会が設置された。
2)1996年7月9日、第2回委員会を開催し、原案作成の作業は幹事会を設置して行うこととした。幹事会は、大森委員長を座長とし、各団体から派遣された1名ずつの委員に吉野弁護士を加えて組織され、当面「標準約款」制定のための検討作業を開始することとした。
3)1997年6月19日、第3回委員会を開催し、幹事会で検討した中間報告として、これま
でに作成された「設計約款」を確認した。さらに、引き続き「監理約款」を検討したのち、「設計・監理約款」を検討することとした。
この段階では、契約書は次の3部構成とし、委託条件書の「設計与条件」については、
委託者自らが作成するか、又は「設計前業務(調査・企画業務)」として別途委託して作
成するものとした。
○契約書の構成
(1)業務委託契約書(いわゆる鏡、委託業務の名称、委託業務の内容、業務履行期間、業務委託料、委託料の支払方法)
(2)業務委託条件書(設計与条件、業務内容、成果物、その他委託条件)
(3)業務委託契約約款(委託者・受託者の責任、権利・義務及び経過で起こる問題の対応)
4)1999年8月31日第4回委員会を開催し、幹事会で作成した最終原案及び各団体より提
出された意見について検討した。修正作業については幹事会に一任することとなった。
5)1997年度および1998年度の幹事会において、「業務内容」は「約款」の本文に盛り込
むのではなく、具体的に業務内容を示した書類として、別途「業務委託書」を作成すること
とし、契約書の種類及び構成を次の通りとして検討作業を進めることとした。
○契約書の種類
(4)建築設計・監理業務委託契約書
(5)建築設計業務委託契約書
(6)建築監理業務委託契約書
○契約書の構成
(1)業務委託契約書
6)1999年6月15日の第38回幹事会において契約書等の最終原案が取りまとめられた。
○契約書及び契約約款の名称
四団体が合同して作成したことを表現するために、契約書及び契約約款には四会連合協定の名称をつけることとした。
○1999年8月31日の第40回幹事会において契約書等の最終原案に対する各団体の意見について検討し、修正作業を行い、原案を最終決定した。
3. 契約書原案作成の前提
1)「業務委託書」のうち、設計業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び「建築
設計・監理組織の品質システム(日刊建設通信新聞社)」の付録1「業務運営のプロセス」
に準拠し、監理業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び「民間連合協定工事請
負契約約款」に定義された監理業務に準拠して作成した。
2)「業務委託書」は、一般的建築物を想定し作成した。なお、木造住宅等の小規模建築物においては「業務委託書」の内容を適宜加除して使用することも想定している。
3)委託者の「設計与条件」としての「建設意図」及び「要求条件」は、委託者自らが作成するか、又は「調査・企画業務」として別途委託して作成するものとした。
4)基本設計と実施設計の成果品である設計図書は、プロジェクトにより異なるので、「設計業務委託書」に特記することとした。
5)監理業務も、設計内容や施工者の能力によって異なるので、監理の程度については「設計図書(特に工事仕様書)」に定めることとし、「設計業務委託書」及び「監理業務委託書」にその旨を明記した。
なお、監理業務は、建築士法に定める工事が設計図書に合致しているか否かを確認する 「工事監理」業務、その他工事請負契約の内容に適合しているか否かを確認する業務、及び工事請負契約の運営に係わる監理者の業務を含むものとした。したがって、建設省告示第1206号(昭和54年)の「工事監理等」より広範な業務を含む。
19990831委員会決定